Smiley face
写真・図版
噴煙を上げる御嶽山=2014年9月27日午後2時13分、朝日新聞社ヘリから、池永牧子撮影

 死者・行方不明者計63人を出す戦後最悪の火山災害となった御嶽山(長野・岐阜県境)の噴火災害をめぐり、遺族らが国と長野県に賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(筒井健夫裁判長)は21日、請求を棄却した一審・長野地裁松本支部判決を支持し、原告側の控訴を棄却する判決を言い渡した。

 御嶽山は2014年9月27日午前11時52分に噴火した。登山者ら58人が亡くなり、5人が行方不明となった。裁判では、噴火前の気象庁による警戒の呼びかけが適切だったかが主な争点だった。

 御嶽山では、噴火17日前の9月10日に52回、11日に85回の火山性地震を観測。噴火2日前の25日には、噴火を予想させる現象である「山体膨張」を示す地殻変動の可能性が指摘されたが、気象庁は断定できないと判断した。

 一審判決はこの対応について、気象庁が十分な解析をせず、15~20分ほどの検討で安易に結論を出したと指摘。「噴火警戒レベル」を最も低い1のまま据え置き、火口周辺の立ち入りを規制する2に引き上げなかったのは違法だったとした。

 一方で、警戒レベルを上げても、自治体による立ち入り規制の実施が噴火までに確実に間に合ったとは認められず、被害が生じなかったとは言えないと指摘。国の賠償責任はないと判断した。

 遺族らが判決を不服として控訴していた。(米田優人)

共有